《MUMEI》
年末の予定
鈴木と付き合いだして約1ヶ月ちょっとかぁ…


始まったばっかりなのに小さなケンカが多い。
しかも心に引っ掛かったままのことが、どんどん増えていくし…


詩織のお古のヘルメット
映画に対する感想…
私に対する気持ちとか。


小さいことから大きなことまで、何にも解決してないんだけど…


でも、そんなことをこだわれば鬱陶しいって思われるし。


でもでも、私の中では積み重なっていって…。
私が爆発したらどうすんのよ!!
鈴木はそれで良いのか!?




そんなことをバイト中に考えていたら、リナさんが来た。


「おはよ♪美樹子さん」


リナさんは妙に機嫌が良さそうだ。


「おはよ。今日は遅くからなんだね…珍しいじゃん」


「そやねーん。ウフ。」


ウフ?


「なんか良いことあったん?」


リナさんがこんなに嬉しそうにしてるとこ、初めて見るかも…


「実はなぁ…ウフ。」


そう言ってニヤニヤして、勿体ぶる。


「あ、分かった!彼氏が出来たとか?」


じゃないと、こんなに嬉しそうにしないはず!


「ブー。残念!」


「え?違うの?じゃぁ本当にわかんない。面倒だからサッサと教えて。」


的が外れて余計にどうでも良くなった。


「美樹子さんは相変わらずノリが悪いなぁ…」


「悪いんじゃなくて、リナさんの話がまどろっこしくて、どうでも良くなるだけよっ!」


ズバリ言ってスッキリ。


「うわっ。言うなあ〜」


リナさんは驚いたフリして続ける。


「実はなぁ…年末はシドニーで年越しやねん♪それで旅行代理店に寄ってきたから遅くなってん。ウフ」


「ふ〜ん。良かったね」


海外旅行をしたことない美樹子には興味すらわかなかった。


「え?美樹子さん、それだけ??反応薄っ!」


リナさんが騒ぐ。


「シドニーの年越しは花火が綺麗で、めっちゃええねんで!!後で本見せるわ」

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