《MUMEI》

「す、すいません。」

先生は、足がもつれて倒れかけた私の態勢を正すように、私の両肩に手を置いた。

手を置かれた肩が熱い。

「実行委員揃って、僕に何か用ですか?」

先生はわざとらしい口調で言う。何かを察知したかのような態度だ。

「あ、あの・・・」
斉藤くんはそれを敏感に感じとって、なかなか言い出せない。
だからと言って、私はもっと言い出せない。

「なに?」
俺は忙しいんだから、早くしろ。と言う感じだ。
その威圧感が余計に、斉藤くんをもじもじさせている。・・・ここは私が言わなくちゃ。

「あー。名波先生!もう探したよ。」
良いタイミングで、空気を感じ取っていない、光が声をかけてくれた。

「なんだよ。光も一緒じゃろくな内容じゃないな。」一気に雰囲気が和んだ。

・・・先生は光のこと、光って言うんだ・・・。

「なんかね。明日の夜、先生に本当の夜空を見ながら、プラネタリウムのナレーション班に指導してほしいんだって。」

「えー。やだよ。」
先生は子供みたいに言った。しかも即答で。

諦めるしかないか・・・。
私は明らかにがっかりした顔をする。

「ほら、奏ががっかりしてますよ。」

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