《MUMEI》
朗報
リナさんにシドニーの話を聞いてからというもの、特に予定もないくせに本屋に行けばシドニーのガイドブックなどを立ち読みしていた。


「はぁ〜。リナさんいいなぁ・・・」


そんな風に、日に日に羨ましさが増したころ朗報が舞い込んできた!



「美樹子さぁーん!!!聞いてや。例の友達、階段から落ちて骨折してん!」


突然リナさんから電話がかかってきて、取った瞬間、リナさんは叫ぶように話し始めた。


「骨折したからシドニーに行かれへんようになってん」


「そ、それは残念だね・・・」


「せやし美樹子さん一緒に行かへん?この間もメッチャ行きたそうやったし」


え?


「その子は行かへんけど、お金は払ってるから誰かが行かんと損やねん。」


どういうこと?


「美樹子さんは友達の枠でタダで行けるねんで!一緒に行こぉー」


タダ?


「え?タダでいいの?」


「うん。友達も悔しがってたけど、他の人と行ってって言われたから。」


えぇぇぇぇぇ!!!


「マジで!!!」


夢のような話だが、どうやら本当らしい。


「私はどうしても行きたいねん!でも一人で行くんは心細いからお願い!」


急な話で私が戸惑っていると、


「美樹子さんダメなら他の子誘うから早めに決めて!」


そう言われると行かないと損な気がする。


「分かった!行く!」


勢いにまかせて決断した。


「良かったぁー!美樹子さんありがとう☆」


「あ、でも私パスポート持ってないけど間に合うかな?」


「すぐに申請しに行ったらギリで行けるから、頼むでっ!!!」


この慌ただしい電話を切り、早速パスポートについて調べ始めた。


大学に入って最初の年末をシドニーで過ごすことになるなんて・・・私の人生ガラリと変わった気がする。


なんてウキウキしながら、頭をかすめるものが・・・


アレ?


年末?


年末って・・・
あぁぁぁぁぁぁぁっ


鈴木の誕生日だ!?

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