《MUMEI》
真菜視点
「あんたまた男振ったんだって?」


「人聞きが悪い、うぜーからおっぱらっただけだってば」


「…あんたね」




大学に入ってから出来た親友、野村未來とベンチに座りながらコロッケパンを食べる私。



一回食べたらはまっちゃってここ一ヶ月ず〜っとお昼はこれだ。
「だいたい好みのタイプがカンニングの竹山とかあり得ないし!」

「何でよ、めっちゃカッコイーじゃん、あんなに素敵な人現れないかな〜」


「アホか、カッコイーって言うのはね、…
ほら、あの男!あんな男の事言うんだって!」



未來がメロンパンごと指さす先に一人の男子がいた。



ちょっとここから離れたベンチに座り携帯をいじる姿。



「?顔良く見えない、竹山に似てるの?」


「は?あんた何言ってんの?あの人は…」




Rの内藤逸樹?誰?は?



誰それ?って聞いても未來は呆れた様子で相手にしてくれない。



私会ったことある?って聞いても無視してパンにかじりついている。



「気になる!ちょっと傍で見てくる!」
「こら!ダメだって!今は学生なんだからスルーしてあげなきゃ!」


「意味分かんねーよ!つか見てくるだけだから」



未來の腕を力強く振りほどき内藤と言う男の傍まで近寄る。
私が目の前まで行くと内藤は私に気づき見上げた。




「Rの内藤逸樹?」



「こら!真菜失礼だよ!!」



「…そうだけど、君は坂井裕斗さんの妹さんだよね、始めまして」



内藤はニッコリ微笑みながら立ち上がり手をすっとだしてきた。




後ろでうわぁとかなんで〜とか未來が黄色い声で騒ぎだしている。




私は素直に握手に応じる。



「始めまして、であの〜、貴方って…」
「はい」





「誰?」





何故か未來は急に黙った。



内藤からも笑顔が消える。




あれ?



私声が小さかった?




「誰?」




もう一度大きい声ではっきりと!





何故か次の瞬間頭をめっちゃ痛く未來に殴られた。

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