《MUMEI》
*意識*
「紫堂」

「はい、お嬢様」

「ありのままで良いと言った筈だが」

「流石にそういう訳にはいきませんね、これでも僕は執事ですから」

「そうか‥」

そう言うと瑠果は両手でティーカップを持ち、微かに波打つ水面を見つめた。

ふとそこに、紫堂の顔が映り込む。

「!?」

「どうされましたか」

「なッ、何でも無い」

「冷めてしまいますよ?」

「わ、分かっている」

瑠果はぶっきらぼうに答えた。

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