《MUMEI》 パテシエ「パテシエって言うの?お菓子作る人」 「パティシエよっ!」 母の年寄り臭い発音にイライラして私が言い直す。 「そうそうパテシエ!」 しかし母は癖なのか、発音は直らない。 「私ね、愛加が幼稚園に入園した頃に、お友達から声をかけられて喫茶店を共同経営してましてん。そこでパテシエしてたんです」 「へぇ〜。すごいですね」 佐久間は普通に驚いている。 「このお店が予想外に流行って本当に大忙し!・・・だから愛加はカギっ子・・・」 「お母さん!!!いい加減にしてっ」 私のストップがかかり母は渋々話を終息させる。 「まぁ、そのお店も10年前に閉店したんやけどね・・・」 「そうですか・・・残念でしたね」 佐久間は気にせずに母の話に対して相槌をうつ。 私は母の相手をするのに疲れ始めていた。 「お母さん、結局いつ帰るの?早めに切符買うときや」 私の質問に母は聞かれたくないことを聞かれたような顔をして。 「あんた私をトンボ帰りさせる気?ひどい娘やで。ホンマ」 と、相変わらずの悪態をついた。 その態度に、自分の母親ながらうんざりしてしまい、 「私なんだか疲れたわ。ちょっとトイレに行ってきます」 そう言って私は席を立った。 前へ |次へ |
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