《MUMEI》 「え?私は別に、そんなつもりじゃなくて。」 慌てて、否定した。 その話しの流れだと、まるで私が提案したみたいになっている。 「おまえが言い出したの?」 そう言って先生は私の顔を覗き込む。自分の顔が思いい切り赤くなった気がした。 「違う違う、言い出したのは宏美ですよ。」 光は私の代わりに答えてくれた。 「澤野か・・・。」 澤野とは宏美のことだ。 先生はものすごく面倒くさそうな顔をして、『じゃあ、却下。』と続けた。 「ちょっと!先生、子供じゃないんだからー。」 光が抵抗したが、もう聞く耳持たずという感じで、自分の机に戻ってしまった。 「広崎さんが、教えてもらいたいって言った方が、い、いいじゃないかな?」 斉藤くんが言い出した。 私と光は『何故?』という感じで首を捻る。 「だ、だって、思い出作りをさせてあげたいみたいなこと言ってたし。」 確かに、実行委員にさせられた時にもそう言われた。 「・・・わかった。」 一か八かで先生のところに向かう。 前へ |次へ |
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