《MUMEI》
*苦笑*
「‥‥‥‥‥‥‥‥」

広い庭に咲く花々の、甘い香りが漂って来る。

暖かな陽射。

瑠果は空になったティーカップを手にしたままぼんやりとしている。

やがてそのティーカップが瑠果の手から滑り落ちそうになるのを受け止めてやりながら、紫堂は微かに苦笑した。

眠り込む瑠果が、何やら不可解な寝言を呟いたからである。

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