《MUMEI》

マンションに戻ると同時に窓って窓を全部開ける。




もー煙草臭くてかなわない!





「はー、クリーンクリーン」





やっとまともに呼吸が許され、冷蔵庫にビールと肉をしまう。



団地に居た頃はインスタントラーメンさえ作らなかったお兄ちゃんが、今じゃー肉じゃがまで作っちゃう。



まあ美味しいかどうかは別にしてなんだけど。




よし!今日は私が作っちゃう!お兄ちゃんびっくりさせよう!







ガチャ…


「ただいま〜!」




「あ!お兄ちゃん!おかえ……あ…」


「真菜ちゃん、お邪魔しま〜す!」




何故!!何故オッサンまで!!




「お、い〜匂い!」
「あれ?真菜作ってくれたの?スゲーじゃん!」



「ま、まあね!私だって料理位!フフフフ〜!」




ちょっと褒められて?嬉しくなっちゃって二人にビールを出してあげる。





「今日秀幸オフだったからさ〜、俺もーめっちゃ焦って打ち合わせかたずけて大変だったよ」



「別に大変な思いしなくたって普通に打ち合わせ…」


「だよな〜!ゆうちゃんめちゃくちゃ頑張って手抜きして俺ンとこ飛んできたもんな〜!大変だったな、お疲れ〜!」




伊藤さん鼻の下伸ばしながらお兄ちゃんの頭を撫で撫で。




お兄ちゃんも頑張ったでしょ?って言いたげに伊藤さんを見つめている。

つか、人間が本当に鼻の下を伸ばすのを、たった今、生まれて初めて拝見しました。



「…バカップル共、肉じゃが食うかい?」



「おっ!真菜ちゃん有難う、じゃ〜貰うかな、ゆうちゃんも食べるだろ?」



「うん…」



はあ、おまいらバカップルって自覚済みかい!


つか兄貴!妹の前で男に寄り添うなっ!

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