《MUMEI》

静かになった……。

「お邪魔しまーす……うわあ……!」

入った瞬間、玄関に物が散乱している。

「二郎そこ危ない!」

足が滑った。
天井が見えたが、すぐに七生が見えた。

「七生、青タン!痛そう……冷やさなきゃ」

ボクサーみたいになっている。

「マジで有り得ん!
クソジジィが手加減しねーんだもん」

「うっせクソガキ!」

よく響く怒声の親子だ。
支えてくれた七生を突き飛ばしてしまった。

いけない、おじさんが居たんだ。

「イッテェ……!」

ごめんよ七生。

「アハハハ!ザマーミロ」

流石、七生父。
遠慮が無いよな……。

「……俺、祖母って人ともう一回、話してみる。」

立ち上がるその一瞬、言ってくれた。
思わず、抱きしめる。

「 お 」

急な抱擁でも七生がしかと抱き抱えてくれたので二人でまためちゃめちゃな床に横転する。

ごめんよ七生……。

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