《MUMEI》

夜中、寝静まった頃に小さな山に登る。
レイの両親が借金しても唯一残したレイの好きだった山だ。

俺と昭一郎とレイは此処に段ボールやら菓子を運び込み基地を作った。

そこで見付けた小さな洞穴。

大人の目に届く範囲だったが、俺達はその洞穴が自分達を特別にしてくれるものだと思っていた。

悪いテストの答案用紙や、当時宝物だった物を隠したものだ。




――――レイの櫛はそこに埋めよう。

悪いものや宝物でなくても、秘密はそこに埋めてきたのだから。
レイへの想いも断ち切れるかもしれない。

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