《MUMEI》
お喋り
「ごめんねぇ〜遅くなっちゃって」


私は息を切らしながら席についた。


「遅刻したバツとして、ワインを注文するわよ!」


千夏が勝手に私のドリンクを注文する。


「愛加、久しぶり!相変わらず仕事忙しいの?」


美幸と会うのは例のコンパ以来で、本当に久しぶりに感じた。


「中間決算が近いからいろいろとね…」


私は適当に返事をした。


「そういえば千夏から聞いたわよ。例の佐久間さんと良い感じなんだって?」


千夏のお喋り!
私は千夏を睨んだ。


「だって愛加のお母さんとも会ったんでしょ?」


千夏があっけらかんとした口調で言う。


「会わせたんじゃなくて、偶然たまたま出くわしたのよ。それだけ」


私はそんなことより、情報が早く流れていることに腹が立った。


「また佐久間さんが高橋さんにペラペラと喋ってるのね!!」


そして高橋さんが千夏に話す。


「悪い話じゃないんだから良いじゃない」


千夏が反論する。


「そうだけど…」


そう言われると何も反論できない。

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