《MUMEI》

「はっはっはっはっはっはっはっはっは」
凛香の声が響く。
小さくなる俺。


「あんた変態じゃん!」


やっぱりそうなるか・・・


「でもほっときゃ、馬鹿な奴に回されてうられるぞ!!!」

「それはそうね。」

凛香は真剣な顔で言う。

「凛香様にもなびかない蓮を、そんな風にさせちゃった女がいるなんてね!」

「からかうな」

「でも、蓮、内緒にしたほうがいいよそれ。本気で妹で通したほうが。あんた、歌舞伎町じゃ絶対惚れないホストって有名なんだから。女は惚れさそうと必死よ。何するかわかんないから。」


「俺、惚れてねえよ!!!何言ってんだよ!」


「え!!!!ばっかじゃないの??今の流れ聞いてて、頭おかしくなって抱きしめて・・・って完璧惚れてることに気付かないの??一目ぼれしてんじゃん!」



「ははは!この俺が!!!???」


「そんなもんだよ。
初恋って。なんだかわかんないでしょ??自分にイライラするでしょ??」


「う・・・・ん」

「ペース乱されて、気に入らないんでしょ??」

「・・・・・ん」

「天下の蓮様も恋しちゃったか〜〜!!!はっはっは!可愛いじゃん」


そう言って俺のあごを持ち上げた凛香は俺に・・・キスをした。

「???」


「ほら。平気でしょ??ドキッともしないでしょ??慣れたもんでしょ?お互い。キスよ?抱きしめたんじゃないのよ??蓮の本当のファーストキスはきっとまだなのよ。」


確かに。
昨日抱きしめただけで心臓が壊れそうだった。

「・・・・・・・」


何も言葉が返せなかった。

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