《MUMEI》
▽
「酷いでしょ〜!妹の前でいちゃつくなんて!ね〜聞いてる?」
「は、はい……」
さっき俺が買った弁当、あんまりガン見されるもんだから、食べる?ってつい聞いてしまった。
そしたら素直に頷かれ、何だかあげる羽目になってしまった…。
そんな訳で俺はカップ麺をすすっている。
坂井さんはじゃがりこをオカズにしてしょうが焼き弁当を美味しそうに食べて…、愚痴を吐き出しまくっている。
「じゃ〜今彼女来てんだ?じゃ〜どうすんの、実家近いなら車で送ろうか?」
「…いい、私の家なのに遠慮する理由ないもん!
う゛ぅ゛、わ、私のお兄ちゃんなのに〜!
あんな奴ムっサイ年寄りのくせに〜も〜!あ、烏龍茶おかわり!」
烏龍茶をグラスに注いでやる。
つか烏龍茶で酔っ払ってる人間初めてみた。
「坂井さんて年上と付き合ってるんだ〜、やっぱり芸能人だったりするの?」
「まーね、初めて会わされた時はぶったまげたよ、正直、面白いからちょっとファンだったし…、はー、本当はぶっちゃけ羨ましいの、私誰とも付き合った事ないし、
あ〜あ、お兄ちゃんい〜なあ〜」
うつ向く顔、本当に坂井さんそっくりだ。
つかここまで化粧っ気のない女の子珍しい。
服装も地味だし何のアクセもつけていない。
でも綺麗な顔。
化粧に汚されてない分透き通る様な肌をしている。
加藤に惚れてから傍でじっくりと女の子を見た事がなかったから…ちょっとドキドキする。
「な、良かったら俺と付き合ってみる?」
言った瞬間自分自身一番驚いた!
軟派な行動が嫌いな筈の俺が…今日初めて口を聞いた子にとんでもない事を言っている。
「…内藤ってやっぱそうゆうキャラ?
はーやっぱりね〜、
だから顔のいい男は嫌いなんだ〜」
前へ
|次へ
作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ
携帯小説の
(C)無銘文庫