《MUMEI》
*役目*
「な、何故お前が私の誕生日を知っているのだ?」

「ご主人様から聞いてましたから」

「そうなのか‥?」

「はい」

そう答えながら、紫堂は次々と皿から覆いを外していく。

「紫堂、まさかあの調理場を使ったのか?」

「辛うじてオーブンは使えたので」

その答えに、瑠果は苦笑した。

「そこまでする事はないだろう?」

「いいえ、そうはいきません」

「?」

「役目を果たさなければ、きっとご主人様に怒られてしまいますからね」

「だが‥お前は私に何度も命令していたではないか?」

「あ、──そうですね」

そう答えて、紫堂もまた苦笑した。

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