《MUMEI》

?


「育てる楽しみに目覚めたって言うのかな?

田舎の子って、都会の子に比べて素直で可愛いんだよね。

ちょっとアドバイスすると、すごく綺麗になったりするしさ」


(あぁ…)


私は駅にいた、身なりの整った女の子達を思い浮かべた。


「で、そんな俺から言わせてもらうと、素材としては、蝶子ちゃん悪くないと思うんだよね」


和馬の言葉に私はギクリとした。


「私はこのままでいいですから」


「そう? 気が変わったら、『シューズクラブ』で俺を指名してね。

俺、流行りものとオシャレ靴担当だから」


さりげなく、和馬がアピールした。


「変わりません」


「じゃ、特別アドバイス」

和馬が至近距離に顔を近付けた。


「…何ですか?」


私は後ろに下がった。


「ナチュラルメイクのつもりだろうけど、化粧下手だね。
ファンデーション合ってないよ」


和馬は私の首と顎のラインに触れた。


「余計なお世話です」


(知ってるから)


私の首と顔の肌色は、僅かに首の方が白かった。


私は、あえてそうしていたのだ。


眉のラインも、もう少し細い方がいいのも含め、私は、今日『下手なメイク』をしていた

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