《MUMEI》
*理由*
「ひとつ聞いて良いか」

食事の手を休めて、瑠果が紫堂に問い掛けた。

「紫堂は何ゆえ執事になったのだ?」

「僕が──執事になった理由‥ですか?」

聞き返した紫堂に、瑠果は頷いた。

「ずっと気になっていたのだが」

「そうですね‥ではお話しましょうか」

紫堂はコホン、とひとつ咳払いをすると、話し始めた。

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