《MUMEI》
*約束*
キャンドルの明かりが微かに揺れ、壁に映った2人の影が動く。

暫く無言で食事をしていた2人だったが、食器の音だけは途切れる事なく続いていた。

「紫堂」

「‥?」

突然の問掛けに、紫堂はキョトンとする。

瑠果はナイフとフォークを皿に置くと、紫堂を見つめて言った。

「‥明日‥教会へ行かないか」

「教会‥?」

「かっ、勘違いをするなよ?‥ただ‥」

「ただ‥?」

「行ってみたい‥と‥いうだけだ」

「いいですよ、行きましょう」

「約束だぞ?」

「はい」

紫堂は微笑んで答えた。

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