《MUMEI》
*教会*
「あの、お嬢様」

「?」

「さっきは‥すみませんでした‥何も考えずに‥」

「いや、お前が気にする事はないぞ?」

瑠果はそう言って前方を示す。

「向こうに見える建物が教会だ」

「あれですか──」

かなり小さいが、確かに教会だ。

「どうした紫堂、早く行くぞ?」

「はい、畏まりました」

紫堂は瑠果の後に続いた。

「?」

ふと立ち止まった紫堂の耳に、何かが聞こえて来た。

どうやら、何かの音楽のようだ。

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