《MUMEI》
*奏楽*
「お嬢様、これは‥?」

「オルガンの音だ」

「オルガンですか‥」

「珍しいか?」

「はい、あまりこういった音楽は聞いた事がないので──‥」

2人が教会の中に入ると、その音楽は荘厳さを増すかのようにさらに大きく響いた。


祭壇の隅に置かれた古いオルガンには、独りの奏楽者。

だが他には人がいない事を不思議に思って紫堂が尋ねると、瑠果は奏楽の邪魔にならないよう耳打ちした。

今日はミサの日ではないのだが、この奏楽者は時々こうしてオルガンを弾きにやって来るのだという。

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