《MUMEI》
*意外*
「天宮家の‥お嬢様‥ですか?」

いつの間にか奏楽が止まり、シインとなった教会に、そう問い掛ける声が響いた。

瑠果は頷いて答える。

「‥‥そうだが」

すると嬉しそうな声が返ってきた。

「やはりそうだったんですね!──今日は様子を見にいらしたんですか?」

「ああ。久し振りに来てみたくなってな」

「そうですかー。あ、そちらの方は‥?」

「私の執事だ」

「ではあなたが紫堂さん‥?」

「はい。僕を‥知ってるんですか?」

「天宮家に新しい執事が来たと噂になっていましたから。‥あ、すみません余計な事を‥」

「いえ、気にしないで下さい。──あ、そういえば‥さっきの音楽素敵でしたよ」

「‥ぇ、そ‥、そんな事ないですよ、私よりも、お嬢様の方がお上手ですから‥っ」

それを聞いて、紫堂は意外に思いキョトンとする。

「お嬢様もオルガンを?」

「元はピアノだ。たまに代理で弾いたりはしていたが‥」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫