《MUMEI》
隠されていた過去
私は話を始めた

「「足フェチのストーカー?」」


二人の言葉に、私は頷いた。


「それって俊彦…」


「じゃなくて、俊彦の高校の同級生」


私の言葉に、二人は安心したようだった。


「で、そいつにヤラレちゃったわけ?」


「…未遂です」


和馬の露骨な質問に、私は顔をしかめた。


「じゃあ、いいじゃん」


(どこが)


私は本気で恐かったし、気持ち悪かった。


あの頃。


中三の私は、皆に内緒で大阪の高校の入試を受けた。

本当は残りたかったけれど、頼りない父を一人で行かせる気にはなれなかった。

私は、何度も妹扱いされて、玉砕していたが…


最後にもう一度、『俊兄』に告白しようと思っていた。


あの日。


俊兄の高校の近くの駅で、俊兄を待っていた私に、『あの男』が近付いてきた。

『あの男』の顔も名前も、私は覚えていない。


元々、『俊兄と同じクラスの人』としか、記憶していなかったから。


『俊彦、ウチに来てるよ』

『本当ですか?』


そして、私は男に付いて行った。


着いた先は、男のアパート。


入ってすぐに、男は私を押し倒した。


『綺麗な足だね』


『嫌!』

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