《MUMEI》

「あ……そうそう…

…カオリちゃん、こっちへおいで。」


僕はベッドから降りると、スーツのポケットの中をゴソゴソと探りだした。


「え?…なぁに?」


彼女は僕の傍に近寄ってくる。


「先週、ミラノに出張だったんだ。

――これは、お土産だよ。」


僕はポケットから小さな包みを差し出した。


「まぁ、何かしら?」


カオリちゃんは薔薇色の小箱を受け取り、リボンを解いた。

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