《MUMEI》

「えぇぇまじでっ!それって新しい彼女ってこと?」


千夏は騒ぎ始める。


「そんなの知らないわよ」


美幸はさらっと答える。


「津田沼から電車に乗るって、彼女が津田沼に住んでるってことかしら?」


「まだ彼女かどうかは分からないわよ」


「友達だとしても津田沼で何してたのかしら?」


「だから知らないわよ」


「ちょっと美幸!太一と話さなかったの?」


「電車なんだから話す時間なんかあるわけないじゃない!」


「あ、そっか」


「お互い、あっ!、って気付いて、久しぶり、って言って電車が行っちゃったんだから」


「にしても太一が女といたなんて気になるわ。ね、愛加そう思わない?」


私は二人の話を聞いている間にめまいがしていて、頭がくらくらして吐き気もしてきて・・・


「愛加?どうしたの?」


隣に座る美幸が声をかけてくれるけど、なんか目の前がぐるんぐるんて・・・


「愛加?なんか顔色悪いわよ」


千夏も心配そうに私を見てるけど、なんか・・・


「愛加!大丈夫!!」


椅子から落ちそうになった私を、美幸が反射的に支える。


「ちょっと愛加の体すごく熱いんだけど!」


私の体を触った美幸が気付いて千夏に言う。


「ちょっと疲れがたまってたのかも・・・」


私が言うと、千夏がおせっかいにも、


「佐久間さんを呼ぶわ!愛加、携帯借りるわね」


そう言って私の携帯から佐久間に電話した。


「佐久間さん大変!愛加が倒れそうなの!!!すぐに迎えに来てぇー」

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