《MUMEI》

私は叫んだ。


『何で、俊兄がこんなもの持ってるの!』


『ち、違うんだ。これは…』


『何が違うの?!』


うろたえる俊彦に私は詰め寄った。


『これは…』


そして、俊彦は、私に言ったのだ。


『蝶子の足があまりにも綺麗だったから、つい…』


ーと。


私は、怒りで震えながら、俊彦の顔を思いきり殴った。


『大っ嫌い!』


(本当に、大好きだったのに!)


ショックだった。


今まで好きだった人が、こんな…


変態だったなんて。


『ま、待って!話を…』


『聞きたくない! 出てって! それを置いてさっさと出ていって!』


私は部屋の中にあった物を俊彦に投げつけて、俊彦を追い出した。


それから


俊彦が置いていった


封筒の中身を


ストーカーが盗撮した


私の足の写真を


全て破り捨てた。


私は、それから、この町を出るまで俊彦をずっと避けていた。


口もきかなかった。


理由を言いたくないから、商店街の皆からは、『ストーカーが俊彦の知り合いで、それに俊彦が気付かなかったから、怒っている』と思われていた。


今でも真実は言う必要は無いと私は思っていた。

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