《MUMEI》
空のメッセージ。
“…ヨウスケは勝手すぎる。っていうか憐がヨウスケのお兄ちゃんだったなんて…。”


“気付けよ……私。”


“ってことは…憐はヨウスケとの思い出のバイクって知ってて…『なんで大切なの?』とか意地悪な質問したんだ。”




“…サイテー。”




“…コウタなんて私の事、好きって言ってたのに、今じゃヨウスケと元サヤに戻したいんじゃないの?”




“何がお前はどうしたい?…よ。”




“…ふざけんなっ。”




結局…私、1人、何も知らないで…バカみたい。




1人の夜道は怖くて、寂しくて…大きめの独り言をブツブツ言いながら早足で帰った…。




マンションの前に着くと、しゃがみこんでいる人影が見えた…。




『…リコ。』




『瑠伊っ。遅いよ。どこ行ってたの?』




リコは珍しく慌ててた。




『…コウタから聞いた?』



私の問いにリコは軽く頷いた。




『こんな時は女同士が一番。親友の私に何でも相談して。』




『…リコ。』




それからリコは何時間もグチを聞いてくれた。




一緒に泣いてくれた。




一緒に怒ってくれた。




でも一緒に答えを出してくれなかった…。




リコは言った…。




『…答えを出すのは瑠伊だよ。どんなに時間がかかってもいいから、納得のいく答えをだすの。』




『コウタや憐のせいにしちゃダメ。もちろんヨウスケのせいでも…。』




『…わかってる。』




…リコは私の言葉を聞くとホッとした顔をして帰っていった。




“明日はバイト休みだ…良かった〜。”




いつの間にか寝てた私は、土砂降りの雨の音で目が覚めた…。




“…雨か。”




窓に当たる雨の音…。
びゅうびゅうと風の音。
不気味に光る空。




“…これ台風かな?”




ぼーっと空を見ていたら、また涙が溢れてた…。




きっと…空からもらい泣きしたんだ…。




空があまりに堂々と大泣きするから…。私にも“泣いていいよ。”って言ってくれてる気がした。




私は…激しい雨風の音を聞きながらゆっくりと目を閉じた。




遠い記憶が蘇ってくる…。

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