《MUMEI》 *視線*「‥‥‥‥‥‥‥」 自分の鼓動がうるさい。 歩きながら、紫堂が何やら話し掛けてくるのだが、瑠果にはまるで聞こえなかった。 (何ゆえ私はこんなにも動悸がしているのだ‥!?) 何とかテーブルに着いたものの、瑠果の心はまだ落ち着かなかった。 彼女の瞳は、平然としてティーカップに紅茶を注ぐ目の前の執事に釘付けになる。 「‥‥‥‥‥‥」 「どうかなさいましたか、お嬢さ‥」 自分に向けられた視線に気付き尋ねた紫堂の手が、ティーポットを傾けたまま止まった。 瑠果が真っ赤に頬を染めて自分を見つめていたからだ。 前へ |次へ |
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