《MUMEI》
*失態*
「‥お嬢様?」

「こ‥紅茶」

「紅茶が‥何か」

「溢れて‥」

「!!」

視線を落とした紫堂は慌ててポットを水平に戻した。

ティーカップから溢れ出した紅茶が、テーブル一面に広がっている。

「すっ、すみませ‥」

テーブルを拭きながら、床にも零れてしまっている事に気付く。

「お嬢様はご無事で‥すか」

「あ、ああ」

「すみません、ついうっかりしてしまっ‥」

紫堂は知らぬ間に自分の手の甲に瑠果の手が重なっている事に気付いた。

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