《MUMEI》
*反応*
零れた紅茶の始末がすっかり終わってしまうと、紫堂はホッと息をついた。

だがテーブルの方に目をやって、ガックリと肩を落とした。

「紫堂?」

「すみません、朝食は無事なようですが──」

真っ白だったテーブルクロスは、紅茶色に染まってしまっていた。

(やってもうた‥)

心の中で呟きつつ、紫堂は頭を抱えた。

すると瑠果が背後から声をかけた。

「どうした?」

「すみません‥」

「何を悔やんでいるんだ?」

「テーブルクロスが──」

「なかなか良い色に染まったではないか」

「‥??」

その意外な反応に、紫堂は拍子抜けした。

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