《MUMEI》

おばあちゃんから頼まれた荷物を、電車で20分かかる親戚の家まで届けて、今は自宅最寄の駅にいた。

ふと空を見上げると、真っ黒な雲が空一面を覆っている。

今日の7時に、学校の昇降口で皆と待ち合わせだった。このまま学校まで向かえば、ちょうど時間に間に合う。

頭の中に、「まさか中止になってないよね?」そんな言葉が過ぎった。
もう一度空を見上げた。

携帯を解約してしまったせいで、百花や光と連絡が取れない。家にも誰もいないし・・・とにかく行ってみるしかなかった。

駅からバスに乗り、バスを降りた時には、大粒の雨が落ちていた。

さすがに雨で天体観測はしないだろう、と思ったが、とりあえずバス停から歩いて5分の学校まで、走ることにした。
一歩ずつ雨足が強くなる。
遠くで聞こえる雷も、だんだん近づいて来た。

昼間暑かったから、上着もブラウス一枚で、雨を避けるために頭から羽織るカーディガンもない。もちらん傘もなかった。


・・・昇降口に着いた時にはびしょ濡れだった。
夏の名残の通り雨は、夏を惜しむように、降り続いている。

「当分止まないかな。」

雷が光るたび、びくりとなる。昇降口はもちろん鍵がかかっており、中に入れそうもない。

・・・やっぱり中止になったんだ。

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