貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い《MUMEI》ご挨拶の出来る男
原チャじゃどうせ直ぐに消えるだろう、わざわざ避けるのも面倒だ。
俺は煙草を吹かしながら運転を続けた。
――あの男、かなり年季の入ったスカジャンを着ている。
そして太い…100キロは有りそうだ。
後ろ姿だけじゃ分からんがあんな事する奴は少なくとも20代前半までだろう。
俺だったら恥ずかしくてあんな事は出来ない。いくら自分が住んでいる訳じゃない地域でだって、誰もいない公園だってゼってーやれねえ!
どんな家庭環境でここまで大きくなったんだろう?
原チャで脚をあそこまで広げるのにはどういった意味があるんだろう?
あのシャドウは練習?
それとも回りに対して威嚇しているのか?
――気がつけば俺の中で奴の存在は、うっとおしいを通り越して
【悪】になっていた。
もうむかつくから抜かしてしまえ!
そう思った矢先だった。
「!!!!!!!」
――奴は敬礼した…
敬礼した…
―――敬礼!
ビシッ!!
川の流れの様な滑らかさだった……。
そしてその時見せてくれた横顔……。
なんだ…まだ10代のあんちゃんか……。
あどけない横顔。
そして敬礼の先には
霞ヶ浦駐屯地の警備のオッチャン。
そう!この男!!
ご苦労様をしたのだ!
そして男は前を向きまたシャドウボクシングを始めた。
――そして俺の中の奴の存在が【悪】から
【さすらいのシャドウ】に瞬く間に変身してしまった!!
俺は感動した!
シャドウ!お前の名前は今日からシャドウだ!!
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