《MUMEI》
誕生日
シドニーに発つのは鈴木の誕生日だった。
なので前日の29日に二人で誕生日会をした。


「小さいけどケーキ買ったよ♪」


「ありがとう」


鈴木は嬉しそうに食べている。


一時はどうなるかと思ったけど・・・
鈴木とも別れず、シドニーにも無事行けることになって良かった。


「プレゼントはね、シドニーで買ってこようと思うんだ」


私がウキウキしながら言うと、


「コアラのぬいぐるみとかやめてくれよ!」


鈴木が嫌そうに言う。


「そんなの買うわけないじゃん!何かほしいものがあれば言ってね」


「じゃぁ、免税店でたばこをたくさんカートンで買ってきてよ」


「え?そんなのでいいの?ていうか、体に悪いし・・・」


安上がりでいいけど。


「なんでもいいよ。無事に帰ってきてね」


あ、そういうこと・・・
なんだか嬉しいな。


「4日に帰国だから、もし良かったら関空か京都駅に迎えに来てよ・・・」


少しだけ甘えてみた。


「いいよ。何時頃?」


「いいの!?夜になると思う。あ、だから京都駅の方がいいかな」


「じゃぁ、また教えて」


「うん!関空についたら連絡するようにする!」


彼氏が迎えに来てくれるなんて、すっごい幸せなんだけどぉぉぉーっ!!!


なんて喜んでいたが、これが私の悲劇の始まりだったなんて、この時には知る由もなかった。

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