《MUMEI》
念押し
佐久間の車に乗ってから私は言った。


「なんで迎えに来るのよ」


私のふてぶてしい態度に、


「なんでって・・・だって熱があるんだろ?」


佐久間は当然のように言う。


「このくらい一人で帰れるわよっ」


「せっかく迎えに行ったんだから感謝の言葉でも言ってくれるのかと思ったら、愛加ちゃんは熱出しても相変わらずだなぁ」


佐久間が呆れたように言う。


「だから迎えに来てもらわなくても良かったのよ!」


私はフンッと顔を外に向けた。


「それに・・・迎えに来られると彼氏みたいじゃない。勘違いされたくないのよ」


その私の言葉に佐久間が反論する。


「それ以前に、さっきみたいに千夏ちゃんが俺に電話してくるってことは、すでに勘違いしてるんじゃない?」


その言葉に私はカチンときた。


「千夏が勘違いしてるのは、あんたのせいでしょ!あんたがペラペラ私とのことを高橋さんに話すからっ」


私が怒って言うと、


「高橋にはそんなに詳しくは話してないよ。ただ愛加ちゃんと遊んでるって言うだけで。家に泊ってることも言ってないし・・・」


佐久間が一生懸命に言い訳をする。


「もういいわよ。とにかく、あんまり言わないで!わかった?」


私は念を押した。


「分かった!それより大人しくしてないと熱が上がるぞ。家に着いたら起こすから寝てなよ」


佐久間に言われて私は目を閉じた。

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