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《MUMEI》 現れたもの。…絶望していた… まったく絶望し切っていた…。 だから 私は… こんなところまで歩いてきた… ボロボロになりながら… くたくたになりながらも… こんな 人知れぬ 名もない山奥まで…。 そう… 私は… すべてを終えようと… 自身で自身を終えようと、こんなところまで歩いてきた…。 例えば それは … 『失恋』だとか… 『やりたいことが見つからない』とか… 『病気』だとか… 『大切なものを失くした』とか… そういう『具体的』な失望では もはや なかった…。 もう 今さら ひとつひとつを思い出す気力もない… それほどまでに 私は 『この世』自体に絶望し切っていた…。 ――――――――――――――――……… ひときわ大きな木に寄りかかり、持ってきた大量の睡眠薬を取り出した… しかし また … この自殺が『うまくいかない』ことも、どこかでわかっていた… いつも そうだ… いいこと も 悪いこと も … 肝心な時に限って邪魔がはいる… だから、私は わかっていた… この 自分にとって 人生で最たる決断を前にしても また これがうまくいかないってことを… 疲れはて… 視界も虚ろになっている この状況で… アイツは現れた…。 それは 文字どうり、私の目の前に 突然 現れた…。 『結局 死ぬことも うまくできねぇのか… オレはホントにこの世界じゃ何もできないんだな…』 ぼんやり映る 目の前のアイツを見ながら そんなことを思い、少しおかしくなった… 近づいてくる… アイツが近づいてくる… ちょっと アナタ はやまったことをしてはいけません…なんて言われるのかな?… 目を擦りながら… ぼんやり映るアイツを、確かめるように 私は見つめている… ……驚いた…… ホントに驚いた!…… 優しい声をかけるでもなく… ニヤニヤとうすら笑いながら近づいてくる… 『立てよ!…勝手なことすんなッ!』 肩の辺りのシャツを ぶしつけに掴むと、アイツは私を無理矢理立たせた… もたげていた頭を 無気力ながら ゆっくりと上げると、目の前に…今度はハッキリと、アイツの顔があった… 驚いた!…… 人生を自ら終えようとした まさに その時現れたのは… 私がよく知っている顔… そう…… 私だ……。 |
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