《MUMEI》

彼女の口から零れた単純な疑問符に俺は言葉を詰まらせた、それに気付いて彼女も目を見開いている。言ってから気付いた感が手にとるようにわかる驚愕の表情。

「えーっ、と、ぁ」

簡単な言葉のキャッチボール、恋人の口から無意識に零れた言葉は軽い響きを帯びていて、しかしそれ以上に、圧倒的な断絶の意味合いを示していた。
無意識、だからこそ、真意を示しすぎている。

結局彼女は再び黙り込んでしまい、俺も返す言葉を探すのも放棄して口を閉ざした。
何でもないやりとりに気まずさを醸し出してしまった自分、情けない、彼女に申し訳なさが募る。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫