《MUMEI》 彼女の口から零れた単純な疑問符に俺は言葉を詰まらせた、それに気付いて彼女も目を見開いている。言ってから気付いた感が手にとるようにわかる驚愕の表情。 「えーっ、と、ぁ」 簡単な言葉のキャッチボール、恋人の口から無意識に零れた言葉は軽い響きを帯びていて、しかしそれ以上に、圧倒的な断絶の意味合いを示していた。 無意識、だからこそ、真意を示しすぎている。 結局彼女は再び黙り込んでしまい、俺も返す言葉を探すのも放棄して口を閉ざした。 何でもないやりとりに気まずさを醸し出してしまった自分、情けない、彼女に申し訳なさが募る。 前へ |次へ |
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