《MUMEI》 *水晶*「そうだ紫堂」 しばしの沈黙の後、瑠果は以前紫堂から受け取った指輪を取り出した。 「何故紫水晶なのだ?」 「ああ、それは──‥僕の名前が紫堂なので‥」 「そうか、なるほどな」 瑠果は納得したように頷いた。 紫水晶は、紫堂は気付いていないが、瑠果の好きな石だった。 「‥‥そうだ」 瑠果は思い付いたように呟き、紫堂の手を取った。 「少し散歩に行かないか、紫堂」 前へ |次へ |
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