《MUMEI》

「それでね、それでね〜…」


マズイ――…!

花沢さんを調子付かせると延々と話し続けてしまう。


「ゴメン……仕事で徹夜だったんだ……

少し寝かせてくれないか…」


僕は適当に話の腰を折り、妻の横を通り過ぎた。


「あら、そお……ゴメンなさぁい。気が利かなくって…」


「………。」


僕は妻を無視して寝室へ向かう――…。

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