《MUMEI》
melancholy Fri.
つつがなく大学の講義を終え、友人と適当に飯を食ったあと、その足で今日もバイト先の居酒屋に向かう。徒歩5分という距離、携帯の時計を見ると少し余裕があったが、まぁいいだろう。
喧嘩なのか別れ話なのか、よくわからないやりとりを恋人としたあとでも、俺は意外と冷静だった。
それどころか妙に頭は冴えているし、体調だって悪くない。大学の友人が今日の俺を見て何も言わなかったくらいだから、俺はいつもどおり振る舞えているのだろう。冷静すぎる自分に皮肉まじりの拍手。

と思いきや、

「うわっ、暗!」

居酒屋の裏口から着替えるべく休憩室に入った途端耳を突き刺す甲高い声。
頭の悪さと軽薄さには定評のある例の茶髪男だった

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