《MUMEI》

確かに彼女の不注意だが、そもそも酔っ払いが彼女を引き止め絡んでいたからそうなったので、誰が見たって自業自得だ。
こんなことはよくある。
俺は救済に入ることにした。酔っ払いは往々にして女に強い態度をとる、男の店員が入って強い態度を丁寧な物腰で隠した口調で謝罪すれば、何とか納まるだろう。
「すいません、お客様‥‥」

俺が営業スマイルを張りつけてわめきたてる酔っ払いに近づこうとすると、顔をあげた彼女と目があった。

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