《MUMEI》

マンションに着くと、佐久間が私を部屋までおぶってくれた。


「鍵貸して、ドア開けるから。」




そして部屋の中に入り、佐久間は私をゆっくりとベッドの上に下ろす。


「愛加ちゃん、やっぱり体が熱いよ。熱測ってみようか?体温計はどこ?」


私が指差した場所から佐久間は体温計を取り出して、私の脇の間に入れる。


「きっと風邪だよ。…風邪薬とかあるの?」


私は風邪なんて10年近く引いてないので薬を買い置きしていなかった。


「薬は買わないの…私、超健康体だから」


「じゃぁ、今回は異常事態だね……」


異常事態か・・・


佐久間はニコニコしながら私にそっと布団をかける。


「すぐ良くなるよ」


佐久間は心配そうに私を見ながらも励ましてくれる。


その笑顔を見ると、なんだか安心した。


「無理しちゃダメだよ」


佐久間にはそう言われたが無理なんかしていなかった…


ただ、太一の話を聞いてから急激に体調が悪くなっただけだ…


それ以外に思い当たることがなかった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫