《MUMEI》

彼女の目はくるなと言っていた、同時に赤くなって腫れている目を濃い化粧で誤魔化しているのにも気付いてしまった。
彼女の瞳は昨日と同じ憎悪の色を宿したままだった、そして、それと同量の悲しそうな涙を湛えていた。
その今にも泣き出しそうな彼女の表情に、俺の足が固まる。

ひょっとしてお前は昨日あれからも泣いてたのか?
もう、ただのバイト仲間で友人という関係には戻れないのか?
本当は、あのとき俺に否定してほしかったのか?

問いかけたいことがたくさんありすぎたが、酔っ払いの汚い声で現実に引き戻され、俺はまだ自分を睨んでいる彼女の視線を無視して、酔っ払いに近づいた。

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