《MUMEI》

だってそうだろ、バイト仲間で友達以外に何があんだよ

しかし、彼女が漏らした言葉はこうだった。

「あたし、バイト辞める‥‥」

ぽつりと路傍に落ちた彼女の声は細かく震えていた。沈黙、ぶぅぅん、消えかけの蛍光灯の音、かちかちと堅い虫が光を求めてぶつかる。

「‥‥何で?」
「もう恋人じゃないもん」
「そんなん関係ないだろ」
「無理なの、あたしもう、」

ぶぅぅん、かちかち、うるせぇ、何を、コイツは何を言って、

「もう、なおひろと友達には戻れない」


ああ、やっぱりな

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