《MUMEI》 *噴水*ひたすらに歩き続けた2人が最後に行き着いたのは、噴水のある広場だった。 「なかなか良い所だな」 瑠果は嬉しそうに辺りを見回す。 中央にすえられた噴水からは、数分置きに水が噴き出す。 時折虹が見えるのを、瑠果は珍しそうに眺めていた。 その時だ。 「‥ぁ」 被っていた白い帽子が、風に待って噴水の中へ落ちた。 「大丈夫ですよ、僕が取って来ます」 すかさず紫堂は駆けて行って、水に浸った帽子を手に戻って来た。 「濡れてしまいましたが──この天気ならすぐに乾くと思いますよ」 紫堂の言葉に、瑠果は頷き礼を言った。 前へ |次へ |
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