《MUMEI》 俯いて鼻を啜る友達が何だかかわいそうになってきて、俺はソファから降りる。煙草の灰を拭くのとオナニーくらいにしか使わないティッシュの箱を片手に、ひょこひょこと失恋男に近寄る。 「英田」 「‥‥っう‥‥、」 本格的に泣いてるし、何だか俺ももらい泣きしそうだ。 「ごめ、ん、な」 あ、やべぇ泣く。 本気で俺まで泣き出しそうになって、それをごまかすように俺は膝立ちで失恋男の頭を抱き寄せた。よくお袋とかしてくれたな、思い出しながら、まだ濡れた失恋男の髪をそっと撫でる。 来ているシャツが濡れている、鼻水とか付かないといいな、一瞬回した腕をほどきかけるけど、子供みたいに泣く失恋男への同情のほうが勝って、結局膝立ちのまま頭を胸に抱く。 今度またコンパでもひらいてあげようと思った。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |