《MUMEI》 妻のうっとおしさに侮然としながらも、僕は釈明の言葉を探す―――……。 「そうかい?――…きっと一緒に仕事していたインド人技師の香水の匂いさ……。」 僕は、妻が勘繰る移り香を外国人のせいにして、適当にお茶を濁した。 僕の会社には、中近東から来ているエンジニアが大勢いる。 彼等はやたらキツイ香水を好んで使うので、この場の理由付けには丁度よい。 「あら、そうなの――……。」 妻は釈然としない様子だったが、それ以上、移り香の件を追求してくることは無かった。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |