《MUMEI》
*背中*
「‥?」

僅かに開けた空ろな目で、瑠果は目の前の物を見つめた。

白い。

それが紫堂の着ているワイシャツの色であるとすぐに分かった。

そして、今自分が背中におぶさっているという事にも。

「っっ!!」

「お目覚めですか?」

紫堂が尋ねたが、瑠果はしばらく返事が出来なかった。

自分でも驚くほど鼓動が速くなっているのを鎮めようとするのに必死だったからだ。

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