《MUMEI》
馬鹿正直
大ちゃんから聞いた話が信じられなかった・・・


「本当に!?本当に鈴木は私のこと最初っから・・・」


「そうだと思うよ。ま、俺もいっつも遊んでる訳じゃないしな。あくまで想像だけど」


想像だとしても、その可能性があることが嬉しかった。


「そんなことよりも、今のことの方が問題なんだろ?」


大ちゃんが浮かれる私を現実に引き戻す。


「そうだったね・・・。そんな過去の話してもね。。。」


「とりあえず美樹ちゃんから電話してみなよ。一週間待って欲しいって言われて、馬鹿正直に待つことはないんだぜ」


ばかしょうじき・・・
馬鹿正直って言われた!?


「だって待ってって言われたから・・・」


本当はすごく電話したかったけど、待ってって言われたから頑張って待ったのに・・・


「自分の気持ちに素直にならないと!電話したければ電話する。変な我慢なんていらないよ」


「待って欲しいって言われたのに?」


「そりゃ場合によっては待たなくちゃいけない時もあるけど・・・、でも今の美樹ちゃんの話を聞いてたら待つ必要なんてないって思う!」


どうやってそれを見極めれば・・・


「そんなの分からないよ」


「今は分からなくてもいい。とにかく、もう待たずに電話して鈴木の話を聞いてごらん!」


そうやって大ちゃんに背中を押されて、私は鈴木に電話をすることにした。

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