《MUMEI》
わからない
大ちゃんに『ウッチー』の話を聞いてから勇気が出てきた。


きっと鈴木も私に電話しにくいのかもしれない。


そして勢いよく電話すると、鈴木が暗い声で電話に出た。


「なんか声、暗いね・・・」


思わず聞いてしまう。


「うん」


しかし鈴木は簡単に返事するだけ。


「今日・・・電話くれるって言ってたよね?私、待ってたんだ・・・」


「うん、ごめん・・・」


鈴木の言葉数が少ない。


「もしかして忘れてた?」


「ううん・・・気づいてたよ」


「気づいてたんなら、なんで・・・!!」


少し怒りが込み上げた。


「結論が出なくって・・・なんて言っていいか・・・」


鈴木の声は徐々に小さくなり、最後の方が聞き取れない。


「よく意味がわからないんだけど・・・」


「俺・・・どうしていいか分からないんだ・・・」


分からないって・・・無責任な。


「だって一週間考えるって・・・」


言ったじゃん!


「ごめん。一週間じゃ分からなかった・・・」


「一体、何を悩むわけ?私のこと少しでも好きならやり直せばいいし、もう好きじゃないなら別れるって言ってくれればいいだけなのに・・・」


大ちゃんの話で自信のついた私は少し強気に言った。


「中途半端にされるのが一番つらいよ・・・」


振られるのは怖い。
でも・・・今の関係をはっきりさせたい。

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