《MUMEI》 最近は、和風の洋菓子も人気だった。 (今度、薫子さんに相談してみようかな…) 蕎麦饅頭を見つめながら、私はそんな事を考えていた。 「で、どうだったの?」 「…すみません、食べてからでいいですか?」 このままだと、手にした蕎麦饅頭を食べるタイミングを逃しそうだから。 咲子さんの皿からは、既に蕎麦饅頭は消えていた。 「…いいわよ」 拍子抜けしたように、咲子さんは言って、蕎麦茶を飲んだ。 (さて、どう話そうかな?) 私は、蕎麦饅頭をゆっくり味わいながら、頭の中で今日起こった事を整理した。 そして、とりあえず。 孝太の案内で、CDショップに行って限定版を購入出来た事。 途中で和馬が合流して、三人でお昼を食べた事。 帰りは、孝太が『シューズクラブ』の常連客である店の女将と話をしていたから、和馬と二人で帰ってきた事を、話した。 「孝太君は、通学・通勤靴と、ブラックフォーマル担当だし あの容姿だから年上か、年下のどっちかに大人気なのよね。 睨まれなかった?女将に」 「…殺気は感じました」 私の言葉に、咲子さんは『でしょうね』と言って笑った。 「で、…それだけ?」 前へ |次へ |
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