《MUMEI》 僕はスーツの上着を脱ぎ、黙って妻に差し出した。 ――――フガッ…! 花沢さんは上着を受け取ると、鼻を鳴らして匂いを嗅いでいる…。 どうやら、まだ移り香を疑っているようだ。 「なんか匂うかい…?」 僕はネクタイをほどきながら侮然と問いかける…。 「いーえ…別にぃ…」 とぼけた返事が無性にムカつく…。 こめかみに血管を浮き上がらせる僕をよそに、花沢さんはポケットに手をつっこんで、太めの体を揺らしていた…。 前へ |次へ |
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